―年齢や性別に関係なく、働きやすい環境です
――御社の事業内容を含めて、会社概要についてお聞かせください。
上原:当社では、主にゲームのキャラクターイラストや素材まわり、2Dグラフィック、また『SPINE』『Live2D』を使用した2Dアニメーションの制作を行っています。最近は広告やプロモーション用に使うWeb、紙物の制作を行うこともあります。そのほかに、モーションや3Dの制作も、数は多くありませんが制作しています。ただグラフィックの制作のみを依頼されるのではなく、クライアントと一緒にコンセプトやテイストを決めるところから携わらせてもらうこともあります。従業員数は現在18名で、女性のほうが多いですね。うち一人は現在育児休業中です。年齢層は20代前半から30代前半が中心となっています。
――そのなかで、片岡さんはチーフディレクターとして、どのようなお仕事をされているのでしょうか?
片岡:イラスト管理とアートディレクター管理、進行、制作などを担当しています。各アートディレクターの上に立ち、管理をしつつ自分自身もアートディレクションをしています。
―登録しているクリエイターと連携することで幅広いニーズに対応
――御社では、アートディレクターがクライアントから仕事を受けて、依頼とマッチする登録済みの契約クリエイターと連携して制作し、クリエイターから上がってきたものに対してクオリティチェックを行い、問題がなければクライアントに納品するという形をとっていらっしゃるそうですが。
上原:はい、概ねその流れで間違いありません。
――デザイナーを社内で直接抱えて、完全な社内制作としなかったのは、なぜでしょうか?
片岡:クライアントによって、希望するイラストのテイストは様々です。たとえば、かわいらしい女の子やかっこいい男の子など、求められるものはゲームによって異なるので、クライアントのニーズに幅広くお応えできるようにしたいと思っています。そのためには、様々なクリエイターと連携し、一緒に作品を作り上げることが、最も適した形だと考えました。
上原:また、クリエイターによって、モンスターが得意だったりイケメンが得意だったりと得手不得手があります。そうした特定のモノが得意なクリエイターを社内で抱えると、『特定のモノが得意な会社』として色が着いてしまうので。ゲーム業界の幅広いニーズにお応えするには、いまの体制がいちばんいいのかな、と思っています。
―二重のチェックでクオリティを担保するグラフィック制作
――御社のHP上にある契約クリエイターの得意分野を示した数値(2017年時点の数値)では、女性キャラを得意とするクリエイターが飛びぬけて多いようですが、この数字は現在、変わっているのでしょうか?
片岡:男性キャラクターの割合がだいぶ増え、実績もそれに応じて増えています。ほかの分野も同様です。
――様々なニーズに対応するという御社の特性が生きてきているわけですね。そのほかに御社が強みとしていることはありますか?
片岡:アートディレクターとデザイナーで二重のチェックが入るので、クオリティを担保できるというのが強みですね。そして、こちらから提案できるのも当社の強みの一つです。疑問に思ったことを分からないままクリエイターに投げず、クライアントにこちらから問いかけたり提案していくことで解消しています。できるだけクライアントの要望と齟齬がないように、そのへんは積極的に行っています。
上原:現在、ゲーム業界全体が忙しく、どこかで進行が止まってしまうことがあります。指示書がなかなか送られてこなかったなんてこともありました。そのとき、ただクライアントから指示書がくるのを待つのではなく、当社で指示書を作成することを提案しました。そうしたこともあって、指示書作成の仕事も頼まれるようになりましたね。より良いものをつくりたいという気持ちは一緒なので、こちらから提案していくことで、クライアントと同じ熱量をもって携われることが強みだと思っています。
―アートディレクターは経験よりもコミュニケーション能力を重視
――御社が求める人材について、できればその理由も合わせてお聞かせください。
片岡:デザイナーは偏りがなく、作業の手が早い人が望ましいですね。偏りがないというのは具体的に言うと、同じ頭身しか描いていない人よりもいろんな絵柄を描いていて、体のバランスなどちゃんと見られる人のことです。また、全てをまるまるお願いするより、一部をお任せして活躍してもらうことが増えているので、指示されたテイストに合わせられる人がいいですね。
上原:アートディレクターは、未経験者でも歓迎しています。絵の見方は経験を積めば身についてくるものなので。それよりも、クライアントからの要望を正確にくみ取ることができるコミュニケーション能力を重視します。
片岡:そうですね。それに加えてアートディレクターで求められるのは、性格面での素直さ、危機管理能力、それから部活動などでも構わないので、スケジュール管理の知識や経験があると、なお良いです。
―若い世代を育てていかないと新しいクリエイティブは生まれてこない
――2017年には、バンタンゲームアカデミーで企業提携授業を行っていますが、今後も未来のゲーム業界を担う若い世代に、積極的に触れ合う機会を持たれるのでしょうか?
上原:そういった取り組みは、現在も積極的に行っています。企業訪問の連絡があれば受け入れたり、インターンからアルバイト採用というプロセスを経た人もいます。実は、バンタンゲームアカデミーで現在、当社のアートディレクターが週二日授業しているんですよ。
――若い世代の育成にも積極的に取り組まれているんですね。
上原:そこから育てていかないと、新しいクリエイティブは生まれてこないと思っています。若い子たちの考え方や画力が必要になってくるので。彼らにも、積極的に仕事につながる経験をしてもらいたいと考えています。それが、当社じゃなくてもいいんです。業界としてのメリットにつながれば。もちろん、当社としても、イラストやグラフィック制作だけじゃなく、いろんな方面に事業を展開していきたいと思っているので、そのきっかけになれば嬉しいですね。
―ユーザーから反応をもらえることで記憶に残る仕事
――御社では「100年先まで記憶に残るデザイン制作」をミッションに掲げていらっしゃいますが、これまでお仕事されてきたなかで、特に記憶に残っていることはありますか?
片岡:一つ一つの案件というより、ユーザーが楽しんでくれている反応が記憶に残っています。自分でもかわいいと思ったイラストに対して、ユーザーが「かわいい!」と喜んでいるところを見ると嬉しいですね。リリース後は、検索かけて反応を見ています(笑)。
上原:私は、イラスト一枚でもアート作品だと思っていて、「かわいい」とか「かっこいい」とか見た人の心が動く、そういうことが大事だと考えています。そういう感動を世の中に広めていくのが重要だと思っていますし、実は仕事として携わっているのに自分自身がいちばん楽しんでいます(笑)。そういう喜びがある仕事ですね。同じような反応がまわりにも広がっていくと、特に印象に残ります。
―Message
――それでは、最後にゲーム業界での就業を考えている方に向けてメッセージをお願いいたします。
片岡:ゲーム業界というと、入るのに特別なスキルが必要なんじゃないか、仕事が大変なんじゃないかなど懸念はあると思いますが、これまでの経験を必ずどこかで活かせるのがゲーム業界だと思います。ゲーム業界未経験でも、目指そうという気持ちがあれば大丈夫です! 楽しいところですよ。
上原:世の中からダイレクトに関わった作品の反応がもらえる、そういう喜びや楽しさは、ほかの業界ではなかなかありません。作品を見られて、反応があって、自分たちに返ってくる、そこがいちばんやりがいにつながります。実は、片岡も業界未経験で入ってきましたが、現在5年目でチーフディレクターとして活躍しています。誰でも目指せる、ほかにはない楽しさが詰まっているところです。
また、働き方にも多様性がある業界です。フリーランスでの活動を希望されるデザイナー、イラストレーターの方は、ぜひ当社の契約クリエイターに登録してみてください!