―ローカライゼーション マネージャー:カスコネ・クラウディオさん
二回に分けて、株式会社キーワーズ・インターナショナルのインタビューをお届けします。
今回はローカライズ部門のクラウディオさん、言語品質管理部門のクリスさん、カスタマーサポート部門のトムさんに、それぞれの部署の仕事内容と魅力について語っていただきました。
――クラウディオさんの担当されている仕事について教えてください。
クラウディオ:私は、ローカライゼーションチームのマネージャーです。ローカライゼーションというのは簡単に言うと翻訳ですが、読み手の宗教・文化・習慣なども考慮したうえで翻訳をします。キーワーズ・インターナショナルの(東京オフィスの)ローカライゼーションチームには現在50名ほど在籍しており、アジアやヨーロッパ、アメリカなどの国籍の異なる人たちが所属しています。
メイン業務は、大手のゲーム企業に翻訳サービスを提供しています。プロジェクトマネージャーというポジションの人が24人ほどおり、それぞれ様々なクライアントの窓口になってもらって翻訳依頼に対応しています。
彼らのメイン業務は翻訳のほかに、クライアントとの折衝や社内の翻訳チームとのコミュニケーション等があります。私はチーム全体を見て、プロジェクトマネージャーのサポートを行い、彼らの作業量のバランスを管理したり、プロジェクトへのアサイン、クライアントや社内との調整、新規の案件が始まるときにコスト面やスケジュール面などについて考える仕事もします。
基本的にプロジェクトマネージャーに任せているのですが、必要に応じてできるだけ彼らをサポートするようにしています。
――ローカライゼーションの仕事で難しく感じる点についてお聞かせください。
クラウディオ:クライアントからタイトなスケジュールでの納品をご依頼頂いた時ですね。案件に合わせて適切な人をアサインしているのですが、クオリティーの高い良いものを作ることと、納品スピードのバランスについて、クライアントのニーズに即して交渉しながら説明しなければならないのが、すこし大変です。
――ローカライゼーションの仕事でやりがいや楽しさを感じるのは、どんなときでしょうか。
クラウディオ:ゲームが好きなら、翻訳という作業を通じてまだ発売されていないゲームを知ることができる喜びはありますね。もちろん、外部に話したりはできないのですが、世間よりひと足早く知ることができる楽しさはあると思います。
―LQA マネージャー:黄 光盛(クリス)さん
――クリスさんの担当されている仕事について、教えてください。
クリス:LQA、言語の品質管理です。日本の一般的な品質管理はバグになりそうなものすべてをチェックすると思うのですが、ヨーロッパやアメリカなどでは、機能の品質管理と言語の品質管理を分けていることが多いです。僕の部署は言語をチェックする業務を担当しています。
実際の作業の流れを簡単に説明すると、ローカライゼーションの部署が翻訳したものをクライアントに納品し、開発側が翻訳されたテキストをゲームに実装します。日本語から他の言語への翻訳が実装されたものをテストプレイして、実際にニュアンスとして合っているか、雰囲気に合っているか、表示に問題がないかをチェックするのが、言語品質管理になります。
いくら翻訳として優れていても、文字だけの翻訳には限界があります。実際に見ないと分からないコンテンツもあるので。例えば、キャラクターの性格が文字だけでは伝わらなかったり、言語によっては女性用の言葉、男性用の言葉が異なるといった問題などがあります。そうしたキャラクターの性格や性別といった参考資料は翻訳段階でクライアントから提供されるのですが、たまに参考資料がないケースもあるので、実際に画面を見てプレイしながら確認していくことになります。
――言語品質管理の仕事で難しく感じる点についてお聞かせください。
クリス:いろいろあります(笑)。最も大きいところでは、クラウディオの話にもありましたが、スケジュールの調整ですね。クライアントの都合によって納期が厳しくなったりすると、人員リソースの調整の難しさもあります。たとえば今(9月)はクリスマスやハロウィンシーズンに向けてリリースされるゲームのテスティングの最中なのですが、同時に何十本ものタイトルの依頼がきており、そうした繁忙期には人員をさらに募集して補充しなければいけないという苦労はあります。
この仕事は、ゲームを好きじゃないと大変な仕事だと思います。何しろ1日8時間モニターの前で、しかも楽しむだけじゃなく、細かいところまで確認しながらプレイしなければならないので。
今となっては笑い話なんですが、2010年前半に体感ゲームが増えた時期は大変でした。体を使って操作するゲームで、僕は当時テスターだったんですが、スポーツのゲームでは実際に走らなければならず、新記録が出たときの翻訳を引き出すために他のテスターの記録を破って新記録を出さなければならなかったときは必死に走りました(笑)。
そういうところが、大変でもあり、面白い仕事でもあります。
――言語品質管理の仕事でやりがいや楽しさを感じるのは、どんなときでしょうか。
クリス:やはり、発売前の未公開タイトルに一般のユーザーより先に触れることができること。あとはゲームが好きな人にとっては夢みたいな仕事かもしれません。ずっとゲームに触れていられるので。
それと、(二ヶ国語以上扱えるなら)将来的に自分でゲームを作りたい、ゲーム業界に憧れる人たちにはテスターは最も入りやすい仕事ではないかと思います。翻訳家になるには翻訳の特別な勉強が必要ですが、母国語ができればLQAのテスターとしては十分なので。
―カスタマーサポート マネージャー:スタニフォース・トムさん
――トムさんの担当されている仕事について、教えてください。
トム:プレーヤーサポート(ユーザーからのメール等の問い合わせ対応)のマネージャーです。プレーヤーサポートは、ユーザーからお問い合わせいただくゲームの仕様や不具合の報告に対応する部署です。仕様についてはお答えし、不具合についてはクライアントの開発チームにまとめて報告というのを、複数の言語で対応しています。東京オフィスでは、11言語くらいですね。
私はマネージャーという立場なので、クライアントに向けた提案書を作成したり、予算の調整とプロジェクトマネージャーやチームリーダーの研修、コーチングを実施しています。ユーザーからのお問い合わせデータの分析も行い、対応の仕方を検証して、よりお客様からの満足度を上げられるよう努めています。
――プレーヤーサポートの仕事で難しく感じる点についてお聞かせください。
トム:直接ユーザーと関わる部署なので、セキュリティに関しては厳しいです。個人情報の取り扱いの研修などもあり、ユーザーから集まる多くのデータを安全に扱えるように気をつけています。
また、プレイヤーサポートの難しさは、毎日同じことの繰り返しではないところにあります。ユーザーとやりとりするうえで、同じお問い合わせ内容でもそれぞれのユーザーに合わせた対応が必要になってきます。
ケースによっては、ユーザーの感情が高ぶっていることがあるので、どうやって落ちついて聞いていただけるようにするかなど、そういう難しさはあります。
トム:プレーヤーサポートとして大切なことは、ユーザーに共感できることだと思っています。感情が高ぶっている方にも高ぶるだけの理由があるので。ただ、だからこそ事務的に対応することもあります。そういう見極めやバランスもプレーヤーサポート業務の難しさの一つです。プレーヤーサポートに100パーセントの正解はありません。常に学び、次へとつなげていく仕事です。
――プレーヤーサポートの仕事でやりがいや楽しさを感じるのは、どんなときでしょうか。
トム:私がこの仕事でやりがいに感じているのは、成長が数字となって表れることです。研修しユーザー対応して、その後ユーザーから満足度が数字として返ってきます。満足度を上げるため、毎月コーチングしています。前月を振りかえり、この場合はこういう対応をしたほうが良い、ユーザーからも良い反応が頂けた、などの情報を共有し、チームのみんなに成長してもらうことが、やりがいや楽しさにつながっています。
プレーヤーサポートがほかの部署とすこし異なるのは、最も大きなプロジェクトだと東京に24名のスタッフがいますが、それ以外に例えばポーランドの事業所にも10名いて、みんな同じチームです。別のオフィスにいても、同じサポートで一つのチームとして仕事をしています。
時差があるので、メールやスカイプなどを駆使しています。そうして海外にある事業所とも一つのプロジェクトで考え方を一致させていくやりがいはありますね。
クリス:24時間365日対応していますからね。
―それぞれの文化やニーズに合わせた会社にしていきたい
――今後、キーワーズをどんな会社にしていきたいという展望や希望はありますか。
トム:キーワーズは、5年前に比べて急激に人が増えました。5年前は50名ほどだったのが、現在は350名ほどいます。急に大きくなったので、いろんな点がまだ未整備だと思います。そうした部分はこれから改善していく必要があると思いますね。
クラウディオ:以前は人数が少なくて意見を一致させることも易しかったけれど、今は人数が増えたぶん、異なる文化によってニーズも多様化しています。それぞれの文化に合わせた環境づくりをしていけたらいいですね。ちゃんとプランニングしながら改善していきたいなと思います。
クリス:二人の意見と重複してしまうけれど、キーワーズにはいろんな国、いろんな地域の人が集まっているので、どんな人にも優しい環境になればという思いはあります。フラットな環境も良いけれど、それが合わない人もいる。その辺りのバランスも見ながら、人間関係を円滑に……フレンドリーではあるけれどもうすこし細かいところまでフォローできる環境にしていきたいですね。
―Message
――最後に、キーワーズ・インターナショナルに就業を考えている方たちに、キーワーズの魅力をお伝えください。
クラウディオ:キーワーズの魅力は、ゲームに触れる機会が多いことと、国際的な文化に触れられることですね。ドアを開くとニューヨークにありそうな国際色豊かなオフィスなのも良いです。
また、仕事以外の楽しみもあります。ハロウィンなどのパーティーや花火、バーベキューなど大きいイベントをはじめ、仕事が終わったらボードゲームをやったり、ゲームのトーナメントが開かれたりと、お互いの文化を理解するためのコミュニケーションの機会がたくさんあります。
それから、キーワーズ全体がゲーム好きな人たちの集まりなので、あまり年齢差を感じさせないところも職場としての魅力ですね。クライアントにもよるのですが、固い業界ではないのでラフな格好が許されるところもあり、そうした自由度の高さから、リラックスしながら仕事ができると思います。
クリス:作業環境と従業員を大切にしているところですね。品質管理の仕事は、会社によってはテスターが私語厳禁だったり、自由に行動できないこともあります。キーワーズはチームワークを大切にしているので、どんどんまわりとしゃべって質問して、コミュニケーションをとっています。そういう文化が魅力の一つだと思っています。
それから、東京でこんなに多彩な国の方々と一緒に仕事できる、友達になれる職場はそうそうないと思います。個人的には、そこがすごく好きなところです。
トム:同僚とゲームの話ができる、一緒にプレイできるというのは、ゲーム好きにとってはとても魅力的なのではないでしょうか。人気ゲームの発売日には、休み時間にみんなで遊べたり。あとは、ほかの会社に比べて自由度が高いのも魅力の一つです。やる気があれば様々なことに挑戦できる環境ですし、上司ともフラットに話ができる風通しの良さもあります。
クリス:みんなゲームが好きなので、ゲームをより良くしようという気持ちが一致しているのも素晴らしい会社です。
株式会社キーワーズ・インターナショナル
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