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2026.08.31業界情報

魔法x行政SRPG『アストラエ・オラティオ』の世界観には「昭和末期から平成初期の作品」の良さを詰め込んだ。アートディレクターに訊く「新伝奇」の魅惑

※こちらはAUTOMATON様によるインタビュー記事を転載させていただいたものとなります

パブリッシャーのNCとデベロッパーのディナミス・ワン(Dynamis One)が手がける『アストラエ・オラティオ(Astrae Oratio)』は、架空の東京を舞台に「魔法」と「行政」をテーマとした独特な世界観が展開されるRPGだ。本作の開発には『ブルーアーカイブ』の元スタッフが携わっており、2026年のタイトル正式発表から注目が日増しに高まっている。本作は近日中にクローズドβテストの実施も予定されているほか(関連記事)、コミックマーケット108の企業ブースにも出展された。

そんな『アストラエ・オラティオ』のアートディレクターに、弊誌はインタビューを行うことができた。インタビューに回答してくれたのは、ディナミス・ワン所属で本作のアートディレクターであるキム・イン氏だ。「新伝奇魔法RPG」を本作のテーマにした理由や架空の東京を舞台にしたアート面での特徴などを回答してもらったので、本稿で紹介したい。



平成日本で流行した「新伝奇」の“良さ”を追及


――まずは自己紹介をお願いいたします。

キム・イン氏
ディナミスワンで『アストラエ・オラティオ』のアートディレクターを担当しているキム・インです。コンセプトアーティストとしては「hwansang」という名義で活動しており、かつては『ブルーアーカイブ』のアートディレクターを務めていました。新作の『アストラエ・オラティオ』を通してユーザーの皆さんにご挨拶できることをうれしく思います。

――『アストラエ・オラティオ』は新規IPとしてどのように立ち上げられ、開発が進められているのでしょうか。

キム・イン氏
『アストラエ・オラティオ』では、isakusanさん、DoReMiさん、私の3人で初期のIP設計を行いました。そうして作品の土台を作り上げ、以降はそれぞれの担当領域に分かれて制作を進めています。3人の役割分担としてはisakusanさんがシナリオを中心としたディレクションを担当し、アート全般については私とDoReMiさんが共同でディレクションを行っています。また、イラストレーターのMx2jさんには主にキャラクター作画の監修を担当していただいています。

私がhwansang名義でイラストレーターとして過去の作品に携わっていたときは、主にキャラクターデザインを担当していました。直接的にイラストを描くお仕事ですね。『アストラエ・オラティオ』でアートディレクターになったからといっても、そうした仕事がまったくなくなってしまったというわけではありません。『アストラエ・オラティオ』で自分が直接的にイラストを描くことは、比重にすると全体の10%ほどです。私の仕事の残り90%は、アート全体をディレクションすることです。アート全般に携わることになりましたので、キャラクターだけでなく背景などもディレクションの対象になっています。過去の作品とは作品への関わり方が変わりました。

『アストラエ・オラティオ』の開発チームでは、各自がそれぞれの役割を持って担当しています。たとえば、DoReMiさんはかつてキャラクターのイラストを中心に担当していたんですが、『アストラエ・オラティオ』ではイラストレーターに限らず、キャラクター全体のディレクションを担当するようになりました。それぞれの役割をまっとうするために、各スタッフが責任をもって開発しているのが『アストラエ・オラティオ』です。そうした専門性の高さは過去のプロジェクトよりも充実していると感じますね。

――本作は「新伝奇魔法RPG」として、“魔法×行政”というテーマを掲げています。このテーマに至った経緯をお聞かせください。

キム・イン氏
大前提として、「魔法」をモチーフにすることが初めに決まりました。「魔法」は一般的に用いられるモチーフでファンタジー作品やJRPGによく登場します。すでに市場にはそうした作品が多く存在していて飽和しているようにも感じていたので、新鮮さを追求するために別の方向性に挑戦したいという共通認識が開発メンバーにありました。そうして、神話や怪奇を現代的な世界観で表現する「新伝奇」と魔法を組み合わせたらおもしろいのではないかという意見にまとまっていったんです。

魔法と新伝奇のほかに「行政」というテーマを付け加えたいと思いついたのが、シナリオ担当のisakusanさんです。魔法、新伝奇、行政の3つのテーマを掲げることが、『アストラエ・オラティオ』をユニークなものにしたと思います。チームのコアとなるクリエイター陣の世代が近いこともあってか、昭和末期から平成中期にかけての作品から大きな影響を受けています。当時の作品が持っていた“良さ”を、今の時代にもう一度表現してみたいという思いで『アストラエ・オラティオ』の制作を進めています。



――『アストラエ・オラティオ』が「新伝奇」を題材とするうえで、影響を受けた作品があればそちらを教えてください。

キム・イン氏
私のアートディレクションとしての観点から影響をうけた「新伝奇」作品を紹介させていただきます。影響を受けた伝奇小説としてとてもマニアックな作品を挙げると、「魔界都市〈新宿〉」(1982年)が挙げられますね(笑)

ですが、『魔界都市〈新宿〉』よりもっとライトな数多くの作品の影響もあります。ライトノベルで例を挙げると、「ブギーポップ」シリーズや「灼眼のシャナ」などが該当します。また、魔法、都市、新伝奇、といったテーマでプロジェクトを展開していくうえでTYPE-MOON作品がこれまで築き上げてきた土台を抜きにしては語れないほど、大きな影響を受けています。また、最近のゲームタイトルでは、『ペルソナ』シリーズにも「新伝奇」の特徴が含まれていると思います。影響を受けた作品は数多く存在するのですが、それはひとつやふたつではありません。神話や怪奇を現代的な世界観で表現する「新伝奇」を題材にしたことが、本作の独特な時代設定や舞台につながっています。

――「新伝奇」の良さを感じる要素として、どのようなものをキム・インさんは考えていますか。

キム・イン氏
私が思う新伝奇の良さは日常と神秘的な世界のコントラストです。昼は日常を送っている平凡な主人公が、それとは真逆の神秘的な夜を過ごすことになります。このように境界を乗り越えて、神秘的な世界に関わるようになっていく様子が昼と夜のコントラストで表現されるんです。新伝奇には全体的なバランスには良さがあると思っていて、境界線を乗り越えるというところにカタルシスを感じています。そうした良さを『アストラエ・オラティオ』に取り入れたいんです。たとえば、ビジュアル面でいうと白と黒の両方の色を使うことで対比感を表現しています。

私のほかにも、開発チームには平成初期から平成中期ごろの作品に影響を受けたメンバーが数多くいます。各メンバーが子供のころに「これがいい」と思ったものを、『アストラエ・オラティオ』に詰め込みたいという気持ちがありました。

――「新伝奇」を感じる作品として『アストラエ・オラティオ』のキャラクターやビジュアルはどのように表現しているのでしょうか。

キム・イン氏
たとえ私たちが過去にいいと思ったことでも、最近の作品では使われなくなった表現もあります。それはキャラクターのシルエットだったり、背景だったりとさまざまです。そういったものを活かしていきたいんです。たとえば、『アストラエ・オラティオ』のメインビジュアルポスター第1弾に描かれている平和岸灯愛の髪形は、最近ではあまり見かけないものです。ですが、それでもこの髪形で平和岸灯愛というキャラクターを表現したかったんです。

キャラクターのシルエットについても、「ブギーポップ」シリーズの影響を感じさせるところがあります。私たち開発チームが当時魅力的だと思ったところを、『アストラエ・オラティオ』では積極的に取り入れています・・・

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