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2024.09.24業界情報

『プロセカ』の繊細な感情表現の肝は「Live2D Cubism」にあり

セガとColorful Paletteの協業により開発・運営する『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(以下、『プロセカ』)。2020年9月にサービス開始し、有名VOCALOIDクリエイターが楽曲を提供するモバイル用リズム&アドベンチャーゲームの本作だが、楽曲だけではなくストーリーや演出表現にも力が込められたタイトルだ。

『プロセカ』のストーリーパートのキャラクターモデルは2Dアニメーション制作ミドルウェアである「Live2D Cubism」によって制作されており、キャラクターの強い感情や揺れ動く心情の表現に一役買っている。数ある2Dアニメーション技術のなかから、『プロセカ』はなぜLive2Dを選択したのか。『プロセカ』リリース当時からアニメーションチームで活躍し、現在はアニメーションディレクターを務めるColorful Paletteの藤本 誠人氏に話を伺ってきた。

なお、「Live2D Cubism」は恒久的に無料で利用できるFREE版と、単月2288円から利用できるすべての機能が使えるPRO版が存在している。



―― 自己紹介をお願いします。

藤本 誠人氏(以下、藤本氏):
『プロセカ』のアニメーションチームでディレクターをしております、藤本です。2019年にColorful Paletteに入りまして、『プロセカ』リリース前からLive2Dのディレクションやストーリーシーンの演出を監修しています。

―― 『プロセカ』内のLive2Dアニメーション制作にずっと関わってきたお立場ということですね。『プロセカ』ではストーリーパートのキャラクターグラフィックにLive2Dが使用されていますが、完成まではどのようなプロセスを踏まれるのでしょうか。

藤本氏:
『プロセカ』では、最初にシナリオベースで素材出しを行います。シナリオチームがまずシナリオの叩き台を作り、登場するキャラクターやユニットを決め、シナリオが固まったのちに素材出しをします。制作物が決まったあとは、イラストチームがデザインから着色までを行い、完成した立ち絵を元に、アニメーションチームと一部外注さんでパーツ分けからモデリングを担当します。 シナリオ本文が完成した段階で、本番想定のセリフや細かい描写を踏まえて、再度アニメーションとストーリースクリプト班で素材だしを行い、必要なモーションや表情を内製で作成しています。3チームで連携し、シナリオの内容を精査しながら必要なモーションや表情を作っています。

―― 3つのチームが並行して作業を行っているんですね。

藤本氏:
そうですね。会話の内容が固まってくると、「こういう表情が欲しい」「既存モーションがあるけれど、もっと盛り上がる演出をつけたい」といった要望がシナリオ側から発生することもあります。そういうときはモデルを動かす段階になって、追加のアセットを洗い出すこともあります。

―― 追加アセットが後から発生するのはあるあるですね……。とはいえ後からの素材追加はなるべく減らしたほうが良い部分だと思います。追加アセット発注を減らすために気をつけていることはありますか?

藤本氏:
追加素材の発注や制作を検討するときは、本当に描き起こさないといけないものなのか、既存のアセットでどうにか工夫できないか、という部分は重要視しています。イラストチームにお願いしなくともできる調整や簡単な素材であれば、アニメーター側で用意することもありますね。

ストーリーシーンにおけるキャラクターの心情表現へのこだわりはプロセカにおいて欠かせないもので、会社としても大事にしている部分なので、熱意をもって相談すればみんな前向きに検討してくれていつも助かっていますね。

―― 作品愛のあるスタッフが集まっているからこその連携ですね。

藤本氏:
Colorful Paletteではシナリオレビューや全体デバッグ会などを行っていて、特定のセクションだけでなく皆で意見を出し合っていく文化もあります。そういう場で各キャラクターを推している人に意見を聞くことで・・・

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