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2024.07.29業界情報

『ヘブンバーンズレッド』は、「困難な現代を生きる人々」に捧げる泣きゲーの進化系

「フィクションには人生を変える力がある」。これは真実であると私は思う。なぜならフィクションの影響で趣味を増やしたり、立ち振舞いの方法を勉強したり、行動を起こしたりといったことを、今までに幾度となく経験してきたからだ。そして『ヘブンバーンズレッド』もまた、人生を変える力を持った作品の1つである。多忙極まり、問題あふれる現代において、とにかく踏ん張って生きている、私達のための物語であることを、本稿を通じて伝えたい。

『ヘブンバーンズレッド』はライトフライヤースタジオから配信中の基本プレイ無料の
RPG。対応プラットフォームはスマートフォン(Android/iOS)のほか、PC(Steam)となっている。開発を手掛けるのはライトフライヤースタジオとビジュアルアーツのゲームブランド・Keyだ。本作は『AIR』『CLANNAD』、アニメ作品としては「Angel Beats!」「Charlotte」などを手掛けたことで知られる麻枝 准氏が原案、およびシナリオを担当していることを最大の特徴としている。

『ヘブンバーンズレッド』ファイナルトレーラー


過去に置いてきた青春。間違いなくKeyの新作



ふと気がつけば、私はいつのまにか、「美少女ゲーム」を遊ばなくなっていた。それは歳を重ねていくうちに、「青春」という商材を信じられなくなっていったからかもしれないし、ゲームの売りである美少女との関係性……人と人の朗らかな繋がりに対し、少しドライになってしまったからかもしれない。あまりにもフィクション過ぎる、と。若かったあの頃から視力はいくぶん落ちて、同時に世界からいくつか色も抜け落ちた。そんな折に、縁あって編集部から仕事の依頼があった。『ヘブンバーンズレッド』を遊ぶきっかけを得たのである。

タイトル名は既に知っていた。『AIR』『CLANNAD』で著名な麻枝 准氏が原案とシナリオを手が掛けていることも知っていた。彼が手がけた『Angel Beats!』にハマった友人と『智代アフター 〜It’s a Wonderful Life〜』の内容に関して夜中にダラダラ話していたことを思い出す。麻枝 准氏が手けている作品は、自分にとってはいわば青春の残滓。とうに過去へ置いてきたものだ。今さら遊んだところで楽しめるのだろうか。疑問を覚えながら、とりあえずゲームを起動する。

まず意表を突かれたのは、主人公=プレイヤーではないことだ。本作の主人公は「茅森月歌」であり、プレイヤーの分身ではない。美少女ゲームと言えば、だいたい主人公がプレイヤーの分身、もしくは想定する消費者像に近しいキャラクターを備えた人物に設定され、美少女たちとイチャイチャするものだが、本作はそうではないらしい。つまり、今後彼女たちに降りかかるであろう困難を、プレイヤーは見守ることしかできないことを私はこの時点で悟った。

しばらくして、世界観について理解していくための説明が始まる。『ヘブバン』の世界は宇宙から飛来した敵と戦争を行っていること。それに相対する「セラフ部隊」は専用の武器を操る美少女たちであること。基地の中には男性は居ない。あまりにも非現実的過ぎる設定である。説明中に挿入されるキャラクター同士の漫才じみた掛け合いはあまりにもくだらない。そして、しかし自分にとっては、本当に愛おしい。

麻枝 准氏はこれまで手掛けた作品において、「日常の破局と、その先に待つ未来」を描き続けてきた。たとえば、永遠の愛を誓った男女が死別し、それでも生きようと力強くもがく、というような内容である。そして、日常というものは基本的にくだらないものだ。中身が無いものだ。故に得難く愛おしい。戦争、軍人、基地というロケーション、プレイヤー自身ではなく茅森月歌の視点で進める物語、そして乱打されるくだらないギャグは、“やがて訪れる破局”への前フリなのだということを嫌でも認識させる。



また、本作はゲーム進行をアドベンチャーゲームのような形式にすることにこだわっている。主人公を操作してフィールドを簡単な形で移動できることをはじめ、キャラクターの掘り下げに専用ステータスが必要になったり、会話中の選択肢が多く、その内容が後の会話に若干反映されたりといった具合だ。あくまで『ヘブバン』は・・・

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