中国のメディアやゲーム産業を管轄する国家新聞出版署は12月25日、新たに105の国内ゲームライセンスを認可したことを発表した。中国メディア
新華社通信などが報じている。中国においては、ゲームを正式発売あるいはマネタイズするためには、中国政府からゲームライセンス(版号)を受けなければならない。実質的なゲーム発売許可システムである。この政府によるゲームライセンス承認は急に止まることもあれば、全然進まないことももっぱら。一方で、最近になりゲームライセンス承認がいきなり進んだようだ。
発端となったのは、中国政府が掲げたゲーム規制だ。国家新聞出版署は12月22日、「网络游戏管理办法(オンラインゲーム管理弁法)」の草案を公表し、1月22日まで一般の意見を募るとした(関連記事)。このオンラインゲーム管理弁法は、中国国内で展開されているオンラインゲームに対して、さまざまな観点より管理をおこない、ユーザーの心身の健康を保護し、業界の健全な発展を目的としているという。
全64条にわたる法案の中では、毎日のログインや初回ログイン、連続ログインに対する報酬、いわゆる「ログインボーナス」を設定してはならず、さらにゲーム内での課金限度額を設定し、“不合理な課金”をおこなおうとした際には、ポップアップで警告を表示する仕組みを用意する必要もあるという。
かねてよりオンライン要素のあるゲームに対する規制の強化をおこなってきていた中国。今回公開された草案はその規制の一環ともとられており、ゲーム事業の成長を著しく妨げる可能性があると危惧され、ゲーム企業を擁するテンセントやNetEaseなどの大手企業の株価が急落するといった事象も見られた(
Bloomberg)。
そうした状況にあった中国のゲーム業界において、国家新聞出版署が12月22日に中国国外産のオンライン要素のあるゲームを新規に認可した。それに続いて、今回多くの中国国内産ゲームに対してライセンスを一気に認可したかたちだ。
この背景には、やはりゲーム規制による反発が大きいようだ。不透明で動きが遅かったゲームライセンス承認を進めることで、中国ゲーム企業の株価を回復させる意図もあるのではないかと、弊誌に寄稿する中国人ライターは指摘している。一方でBloombergによると各社の株価は回復していないとのことである。
また「2023年中国游戏产业报告(2023年中国ゲーム産業報告)」によると、中国国内ゲーム市場の実売収入は今年初めて3000億元(約6兆円)を突破し、ユーザー規模も6億6800万人を記録するなど、過去最高を更新している(
新華網)。市場が大きいだけに、規制や大きな打撃を受け得るのである。
拡大を続ける中国国内のゲーム市場。一方で未成年者のオンラインゲーム依存や、ユーザーの保護などを目的として管理や規制が続けられており、企業はその影響を受けているかたちだ。ゲームライセンス問題や、来年1月に一般の意見公募が締め切られるオンラインゲーム管理弁法など、中国のゲーム会社はまだまだ当局に翻弄されていきそうだ。
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